embedded world 2015を見てきました

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昨年も見に行ったembedded worldを今年も見に来ました。embedded worldは、欧州で最大規模の組み込み技術の展示会と言われています。

筆者はmbed関連のプロジェクトを主に担当しているので、まずはARMブースを見に行きました。
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ARMブースでは、mbed OSやmbed Device Serverを使ったブース内センサネットワークのデモが展示されていました。

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写真のモニタ右下に設置されているセンサがブース内に多数設置されていて、ブースの中の様子が画面中のマップに表示されます。これらのデモは、mbed.orgのblogで詳しく見ることができます。mbed OSやDevice Serverは今年の10月くらいに公開される予定です。今から楽しみです。

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intelブースは、スペースの大きさの割に、展示物が少なめでした。embedded worldの会場はとても広く、歩き疲れてしまうため、席や飲み物を提供してブースに留まる人を獲得するという戦術を採る出展者もあります。

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intelブースでは、Firmware Engineという面白そうなSDKのプレビューが展示されていました。Galileo Gen2やMinnowBoardをサポートし、コードを編集することなく、カスタムUEFIファームウェアをビルドすることができるツールです。今年の第一四半期にはベータ版をリリースするということですので、もうすぐでしょう。こちらも楽しみです。

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次は、3月2日にフリースケールを買収するというニュースを発表した、NXP Semiconductorsのブースです。NXPは、発表したばかりのLPC43Sxxシリーズ、LPC18Sxxシリーズを展示していました。これらのマイコンは、AESのエンジンと乱数生成器を搭載し、IoTのセキュリティを意識したラインアップです。また、USB Type Cのデモンストレーションも行われていました。

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また、NFCを使ったスマート・オーブンの展示も行われていました。国内ではNFCチップと言えばSONYですが、NXPもNFCのチップで有名な会社です。スマート・オーブンは、スマートフォンで見たレシピをオーブンにNFCで転送して調理を行えるというものです。スマート洗濯機が出て、洗濯機の設定もスマートフォンのGUIで行って転送することができれば良いのに、と思いました。

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Freescale Semiconductorのブースには、Make It Labという、FreescaleのKinetisシリーズのマイコンなどを使って何かを作ってみようというコーナーがありました。HackathonやHacker Spaceのような感じのスペースで、フリースケールのスタッフが色々教えてくれるようです。昨年のembedded worldに参加したときには、出展しているメーカーと、Makerやmbed、Arduinoといった我々との距離を感じましたが、今年はもう少し歩み寄ってくれているように感じました。

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フリースケールは車載半導体大手だけあって、自動車関係の展示が多く見られました。例えばこの展示は、LIN(Local Interconnect. Network)と呼ばれる自動車などで使われている信号線1本で通信するネットワークを使い、ハンドルで迷路を動かしてゴルフボールを出口に導くものです。

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次は、PSoCという、ちょっと変わったマイコンを作っているCypressの展示です。Cypressも、Maker Labというコーナーを設けていました。このコーナーでは、同社の製品を紹介するセミナーが開かれていました。当社でも扱いのある、Sparkfunのステッカーも置いてありました。

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サイプレスは、最近、BLE対応のPSoCを出したこともあり、これに関する展示や、従来から注力しているUSB関連のソリューションとして、USB 3.0や、USB Type C関連の展示コーナーも設けていました。

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Arduinoに搭載されているAVRシリーズのマイコンなどを作っているAtmelのブースです。Atmelブースは、昨年同様、パートナーのソリューション紹介が中心でした。従来はArduinoの展示は殆ど見られなかったのですが、今年は違います。壁に各種Arduinoが展示されたコーナーがありました。

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個人的に面白かったのは、QTouchという静電容量式タッチセンサを使った水位計です。タッチセンサで水位を測り、ポンプで水を増やしたり減らしたりといった制御を行っていました。

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embedded worldには日本の企業も出展しています。東芝もその一社です。昨年の東芝ブースはHDDやSSDといった記憶媒体が中心でしたが、今年はBluetooth関連のチップ、ワイヤレス給電のQi向けのチップなども展示されていました。恥ずかしながら筆者は、東芝がこれらの半導体を作っていることを知らなかったので、とても興味深く見てきました。

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東芝ブースでは、最近活発に広報を行っているFlashAirの展示もありましたし、近距離無線転送技術であるTransferJet関連の展示も見てきました。iPhoneやiPadで使えるTransferJetアダプタも置いてあり、実際に筆者のiPhoneで転送のデモをしてくれて興味深かったです。

embedded worldには、海外の取引先とのコミュニケーションのために行っているのですが、新しいソリューションのデモ展示を見ることができて楽しいです。半導体業界のトレンドをなんとなく把握することもできるのですが、昨年よりMakerフレンドリーになってきているということを感じました。また、できれば来年も視察に行ってきたいと思います。