The full story

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この記事は、Arduino.orgに掲載されている、フェデリコ氏が書いた「The full story」という記事の意訳です。

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前回Arduino S.r.l.が巻き込まれている争いに関するアナウンスを出してから数ヶ月が経ってしまいました。ここで近況を伝えたいと思います。この約半年、私はArduino S.r.l.(2005年からオリジナル「Arduino」ブランドのボードの製造・マーケティング・サポート・保証を世界中でしている唯一の会社)のCEOをしています。

私の仕事人生は、常にオープンソースに関するものでした。当初は、ノースカロライナにある、あのレッドハットで。その後は、マサチューセッツにあるミステリアスなドッグハンターで。

私は、オープンソースプロジェクトであるArduinoの共同設立者ではありません。しかし、多くのArduinoプロジェクトの歴史に関する情報を読みました。そして、これだけは確信を持って言えることがあります。私たちが、Arduino Yúnのハードウェア・ソフトウェア両方の計画を立て、設計、開発、製造を進めたとき、linino.orgを始めた友人たちとともに、私はその場所にいました。

Arduinoプロジェクトが始まった頃、プロジェクトにはマッシモ・バンジとジャンルカ・マルティノという二人の重要なリーダーが居たことは決して否定できません。彼らは、成長のため、タスクとチームをコミュニティと工業生産に分割しました。前者は、プラットフォームを広めるため、スポークスマンのマッシモ氏が担当しました。後者は、法人としてのArduino(Smart Projects S.r.l.という名前でした)として、Arduinoボードの開発・製造・販売、そしてイタリアなどの国で「Arduino」商標を登録するマルティノ氏が担当をしました。

マッシモ氏は、彼が2001年から2005年の間に教師をしていたI.D.I.I.(Interaction Design Institute of Ivrea)でのインタラクションデザインコースの中で生徒によって作られたフレームワークを、プロジェクトとして立ちあげた洞察で、名を刻まれるべきです。彼は、デザイナ達がインタラクションを実現できるようにするためには、シンプルで直感的なインターフェースが必要不可欠にであることを、誰よりも先に理解していました。オープンソースとオープンハードウェアという素晴らしい選択肢を選んだことは、Arduinoのエコシステムがコミュニティと共に成長して、代表的なプロジェクトになることができた理由です。なにかを生み出すと言うことは常に複雑なプロセス、多くの人、教師や生徒のニーズ、問題、夢との出会いの結果であり、マッシモ氏はこの分野での先駆者でした。

ジャンルカ氏は、私たちが知っているArduinoブランドの多くのプロダクトを実際に世に送り出したことで名を刻まれるべきです。Arduino S.r.l.の辿ってきた道は、常にロマンチックだったとは言えません。ボードを製造して販売するには、部品を購入したり、量産をするための装置を買ったり、販売契約を取り付けたりするために、資本となるお金が必要です。当初のArduinoの売上はあまり大きくなく、これらのコストをカバーするには十分ではありませんでした。お金は常に十分とは言えません。最初の頃には、量産施設・販売網・流通網・働いてくれる人々、こういった問題を全て解決する必要がありましたが、これらの問題はジャンルカと彼のスタッフのみによって成し遂げられました。これはマッシモ氏が、製造や販売といった実在するために必要なことに時間やリソースを費やしたり、Arduino S.r.l.の株主や役員になることに関心を示さなかったためです。

Arduino S.r.l.に食い違いが生まれたのは、恐らく、2008年にいくつかの理由によって元々のグループが離ればなれになりはじめた頃に端を発します。最近のアナウンスが、望ましい合意を探すため、試行してみた提案が何一つとして受け入れられていない理由を物語っています。私はこのことをとても悲しく思っています。また、マッシモ氏が繰りかえすArduino S.r.l.の役割と権利を否定する試みに私は驚かされてもいます。このことは、ディストリビューターやユーザーをも混乱に陥れています。

この変化に伴い、私自身が払った代償から学んだことは、イノベーションやクリエーションというのは、しばしば困難や孤独の中で仕上げられるということです。クリエーションとイノベーションは、ときに苦痛と共に、常に危機を伴います。マッシモ氏のArduino S.r.l.に対する提訴は、私を個人的に傷付けました。マッシモ氏は常に衆目の中心にいたがりますが、これはプロジェクトの当初の方針とはかなり異なります。私たちは、arduino.orgを通じて、当初の方針通りに活動して行きます。私は、最後には良識が勝つと確信を持っています。

Maker Faire Bay Areaで、私たちはArduino Yún mini、Arduino TIAN、Arduino M0、Arduino M0 PROといった新しいプロダクトと共に、次の二つの新しく重要なプロジェクトを発表します。

  • javascriptで書かれた新たなArduino IDE-alpha
  • Arduinoボードを使って、アイデアをプロダクトにすることができるmy.arduino.org

私たちは、こういったアイデアを現実に変えてくれる人々に感謝したいと思います。

Arduinoは皆さんのことであり、皆さんと共にあることが誇りです。

フェデリコ