ボストン近郊には、有名なmakerspace である、Artisan’s Asylumというものがあります。「熟練工の避難所」とでも訳せば良いのでしょうか。同じような施設ではTechShopが有名ですが、TechShopは企業が運営しているのに対し、Artisan’s Asylumは非営利公益法人が運営しているスペースです。
Artisan’s Asylumは、Make:と一緒にHow to Make a Makerspaceワークショップというものを開催したことがあり、このときの内容の一部は和訳され、Make: Japanの「メイカースペースをMakeする」という記事にもなっています。
Artisan’s Asylumは、なんと約3,700平方メートルにも及ぶ広大なMakerspaceで、電子工作や木工、金属加工、裁縫、宝飾品加工、スクリーン印刷などの作業場に加えて、レンタルスタジオも持っています。
Artisan’s Asylumの見学ツアーに同行して、中を見せてもらってきましたので、ちょこっと紹介したいと思います。
まずは、エレクトロニクスの作業場。
工具だけでなく、よく使いそうな部品は棚に入っていて共有されていました。
部品を使ったら、適当な金額を下の写真に写っている箱に入れてね、というhackerspaceで良く見られる方式でした。この大らかな方式、割と気に入っているのですが、日本ではあまり見かけませんね。
次に、宝飾品加工の作業場。トーチが置いてあって、ガラスを融かしたり着色したり、といったことができるようです。
スクリーン印刷の作業場。Tシャツに印刷をしたりするアレですね。
入り口のあたりには共有の作業場が集まっているのですが、入り口から奥、向かって左手に進むとレンタルスタジオ用に区切られた区画が並んでいました。
使い方はそれぞれで、物置のようになっている方もいらっしゃいますし、
借りたスペースの中で作業をしている方もいらっしゃいます。この地図を書く方はMIT Mini Maker Faireにも出展していました。
借りたスペースに機材を持ち込んで設置している方もいらっしゃいます。着色機能付きの3Dプリンタを設置している方は、こんなハンバーガーをプリントして展示していました。
レンタルスタジオが並ぶエリアの真ん中には、ソーシャルエリアということで、交流のための共有スペースが設けられています。ソファなどがあり、快適そうです。
入り口から奥の右手のほうには、大型工作機械のある作業場があります。
まずは木工所。かなり広大なスペースで、作業台や棚など、かなり大きなモノを作ることができます。
大型CNCルーターもありました。鉄板は加工できませんが、アルミや木の板であればかなり大きな板も加工できそうです。
金属加工をするスペースもあります。旋盤などはもちろん、
溶接機やプラズマカッターまで備えられていました。
これらの加工機によって、Project Hexapodのようなもの凄いプロジェクトが進められていました。Project Hexapodは、人が二人乗れる大きさの六脚のロボットで、Artisan’s Asylumの設立メンバや、Boston Dynamicsのエンジニアなどが一緒になって進めていました。
もちろん、一般的なMakerspaceにありそうな、3Dプリンタや、
レーザー加工機もArtisan’s Asylumには備えられています。
こんなものすごいMakerspaceですが、住宅街の一角にあり、路地を挟んだ向かい側には普通の住宅が並んでいるのがとても印象的でした。