ミニ四駆などに入っている普通のモーターは永久磁石によるSとNの極を持ち、中央の回転するコイルに電気を流して磁界を発生させることで回転します。
電気を沢山流すと速度とトルクが上がっていき、ギヤボックスをつけて目的の速度やトルクにします。概ねこういう円筒形をしています。
それに対して、ダイレクトドライブモータはギアを使わない(のでダイレクト)で直接目的のトルクと速度を出すために、たくさん(16-24など)の極を広い周縁に貼り付け、扁平な円筒になります。
モーター内に速度、位置、回転の検出ができる仕組みを持ち、電流の他にコマンドを供給して角度や回転数を制御します。
静音・高トルクのダイレクトドライブ方式
ギヤがないぶん、
-静音
-エネルギーロスが少ない
-普通のモーターが苦手な、低速・大トルクに強い
-トルクの立ち上がりが早い
-可動部分が少ないので壊れづらい
などのメリットがあります。大型の家電製品、洗濯機などで使われています。
また、コマンドで直接制御できることやトルクの立ち上がりが早いことから、Direct Drive Techではロボットの制御に使ったデモを作っています。(このロボットそのものも販売中。独自基板とバッテリなので、日本で合法的に販売するのは難しいと思いますが)
重さ300g,トルク1.1NmのM6_111,重さ485gでトルク2.0NmのM6_112はどちらも18V駆動(最大24V)で、RS-485でコントロール、大型のM15シリーズはCANで駆動、24V(最大60V)はトルク17Nmを叩き出します。
ダイレクトドライブはゆっくり回転するものにもつよく、どちらのモーターも1分間1回転からサポートします。
中国での価格はM6_111が約4500円、112が6000円、M15シリーズが3万円程度。
100名のチーム、40名のR&Dがモーターを研究
Direct Drive Tech(本末科技)は香港科技大で制御工学を学んだGregが2018年に香港で創業、東莞のオフィスにすでに100名のメンバーを揃え、うち40名がDirect Driveのモーターを研究開発するR&Dチームです。
「R&Dチームでは材料、物理、数学などのメンバーを多く採用していて、なるたけファンダメンタル(根本的)にいいモーターを作っていきたい。
テクノロジーがとにかく中心で、消費者向けの製品を作って手っ取り早くお金を儲けるということは今は考えていない。他の会社ができない、アイデア一発だけじゃなくてきちんと作り込んだテクノロジーを製品にするのがDirect Drive Techの考え方だ。」
社長のGregはまだ27歳。すでにIoTコントローラの会社を創業し、そちらは友人に譲渡済み(モーターに専念したい、とのこと)のシリアルアントレプレナーです。
テクノロジーの話も商売の話も大好きで、様々なデモやサンプルを見ながら訪問の時間は伸び、夕食もご一緒しました。
日本への輸入に向けて
動作コマンドなどの書類はまだほとんど中国語なので、輸入開始までは少し時間いただくと思います。
彼らにとっても初の海外取引なので、輸送などについても打ち合わせ中ですが、面白そうな製品なのでぜひ日本のロボットメイカーたちに届けたいと思います。