Arduino S.R.L.のオフィス見学と、倉庫見学に続き、今度は組みたてラインを見せて貰いました。Arduinoの製造の多くはイタリアのトリノの北、イブレアという都市の近郊で行われています。Arduino Yúnなどの無線を搭載した製品は、台湾で製造されているそうです。現在ではイタリアには3つの製造ラインがあるそうですが、そのうちの一つにお邪魔してきました。
イブレア、と聞いてIDII(Interaction Design Institute Ivrea)を連想する方はなかなかのArduino通ですね。そうです、イブレアはArduinoが生まれたと言われている場所で、お邪魔した工場は、Arduinoチームで当初から製造などを担っていたジャンルカ・マルティノ氏が立ちあげたものです。この工場は、Arduinoの創設時からすると、厳密には二箇所目で、最初に製造をしていた場所では今は製造をしていないそうです。
工場の中にお邪魔をすると、まずは大きな倉庫スペースがありました。写真のフォークリフトの右側の多くは、製造に使う部材で、左側が製造した商品です。この写真は、倉庫スペースの隅にあった休憩スペースから撮影しました。
倉庫スペースの横には、エンジニアリングチームの部屋があります。ここでは、主に製造した製品のQA(品質管理)や、試作品のチェックなどを行っているそうです。
その隣には、Administration Officeが。工場の製造管理などを行っている模様です。
さて、製造ラインを見てみましょう。いきなりビデオで恐縮ですが、クリックして再生をしてみてください。
まず、基板にクリームハンダを塗って、次にチップマウンタでハンダを塗った基板に部品を載せています。チップマウンタは二台ありました。最後に、リフロー、オーブンに、ハンダを塗って部品を載せた基板を通して加熱することでハンダを融かしてはんだづけしています。世にある電子機器に入っている基板の多くは、こういう方法で作られています。この方法について興味をもって体験してみたい、と思った方は、スイッチサイエンスのオープンハウスの「リフロー体験」にぜひ参加してみてください。今年は、オープンハウスを四ヶ月ごとにやろうと社内では話していますので、恐らく次回は6月に開催します。
ところで、ArduinoにはDCソケットだとかピンソケットとか、足を基板に差し込む部品がありますよね。そういう部品は「フローはんだ」という方法で、はんだづけをします。フローはんだは、まず、基板を搬送用の枠に取り付け、部品を差し込みます。
それから、この装置についているコンベアに枠を乗せると、部品を載せた基板は装置の中に運ばれて…
装置の中で、融けたはんだのプールの上ギリギリを基板が通ることではんだづけされます。動画をよく見ると、融けたはんだの上を基板が通っているのが分かりますよね。
こうして、はんだづけされた基板は、検査と、ブートローダーの書き込みが行われていました。
基板が完成すると、次の動画のように箱詰めが行われて、Arduinoが出荷できる状態に仕上げられていました。
最近、当社が日本語訳を担当した、The Arduino Starter Kitなど、色々な部品が入っている商品を作る工程もありました。まず、部品が袋詰めされたり、箱が組みたてられます。
そうして作られた内容物は、手早くイタリアの人々の流れ作業で次々と箱詰めされていました。
The Arduino Starter Kitなどにも入っている、レーザー加工機で作られた板も、同じ工場の中で作られています。
こうして作られた製品は、冒頭で紹介した倉庫スペースに保管され、スイスの保税地域の倉庫に送られます。弊社もオリジナル製品の製造を行っていますが、こうした工程を作り上げArduinoの量産と世界への販売を実現したGianluca MartinoやDaniela Antonietti、そして彼らチームの仕事は素晴らしいと思いました。