さきほど、突然、Raspberry Pi 2が発表されました。この新しくなったRaspberry Piをちょっとだけ紹介します。
従来のRaspberry PiのCPUは、今となっては古い感じだったARM11コアでした。今回登場したRaspberry Pi 2では、CPUがCortex-A7、しかも4コアになりました。ここ数年のスマートフォンなどに載っているCPUはCortex-A7コアです。
Raspberry Pi 2は、従来の6倍のパフォーマンス、と紹介されています。でも、ひとくちに6倍っていうのは、ちょっと乱暴ですよね。6倍、というのはマルチスレッドの一般的な、SysBenchといったベンチマークを実行したときの結果だそうです。シングルスレッドのCPUベンチマークでは、1.5倍の速度になったということです。CPUクロックが従来の700MHzから900MHzになったということですので、妥当な値と言えるでしょう。ちなみに、SunSpiderというJavaScriptのベンチマークでは4倍の速度。NEONという新しいARMコアの命令セットを使った、マルチコアのビデオコーデックでは20倍以上の速度が出るそうです。
メモリも、従来の512MBから倍増して、1GBになりました。いままでのRaspberry Piは、メモリがCPUの上に親亀子亀のように搭載されていましたが、Raspberry Pi 2からは、基板の底面に搭載されています。
Raspberry PiでX Windowを動かしたり、OpenCVを使った画像認識をさせたりするとずいぶんと遅かったですよね。このRaspberry Pi 2なら、あの重さから、いくらか解放されるかもしれません。
基板の形状やGPIO端子は、Raspberry Pi Model B+と同等だそうです。HAT仕様の基板外形シンボルを公開しました。という記事でも紹介したHATも、そのまま使う事ができそうです。
(左:Raspberry Pi Model B+ 右:Raspberry Pi 2 Model B)
ただ、基板に搭載されている部品のレイアウトが変わっていますので、うまく取り付けることのできないB+用のケースもあると思います。例えば、最近、当社で販売をはじめた「Raspberry Pi B+用エンクロージャ」にはうまく取り付けることができませんでした。基板底面にあるリセッタブルヒューズが、エンクロージャの支えと干渉してしまうためです。
干渉する部分を、ニッパーで切り取って取り付けてみたところ、うまく組み付けることができました。
ただし、やはりCPUの大きさや位置が異なるので、ちょっとだけ不満は残るレイアウトです。
また、Rapiroにも取り付けてみました。B+と同じように、ビデオ出力のイヤホンジャックとツメの部品が干渉しますので、ちょっと外側に曲げて取り付けました。もう一点、基板を支える部品の、Raspberry Pi Model Bの穴に差し込む頭の部分が干渉しますので、この部分をニッパーで切り取ってやるだけで取り付けが可能です。
Rapiroの後頭部のコネクタの部分も、ちょっと位置がズレていて不格好ですが、一応使える状態で取り付けることが可能でした。
Raspberry Pi 2では、CPUの性能向上と共に消費電力が増え、それと同時に放熱も増えているはずです。Raspberry Pi Model B+用の密閉型ケースを使うときには注意したほうが良いでしょう。もちろん、電源も見直したほうが良いかもしれません。正確に測定することはできていませんが、ホール素子を使った簡単な電流計でRaspberry Piを起動するときの電流を測定してみました。結果、B+の起動時には、最大で355 mA程度の電流が流れたのに対し、Raspberry Pi 2では最大約390 mAでした。10%程度の違いですが、実際にRaspberry Pi 2の4つのコアすべてに負荷をかけると、もっと大きな違いが出るかもしれません。
また、同時にWindows 10 for Raspberry Pi 2が、近いうちに無償で提供される予定であることも発表されました。
そんな大幅にパワーアップしたRaspberry Pi 2ですが、なんとお値段据え置きだそうです。スイッチサイエンスも、できるだけ早く販売開始できるよう、仕入れを行っています。
あ、そうそう。こういうニュースが飛び込んでくると、従来機の継続供給が気になります。従来のModel BやB+は需要が有る限り継続して供給していくつもりとのことです。また、Model A+については、今のところRaspberry Pi 2のModel Aを2015年末までにリリースする予定は無いとのことでした。