Rapberry Pi Zero Wのアンテナのお話

先日、MagPiでRaspberry Pi Zero Wのアンテナに関する記事が公開されました。こちらがおもしろかったので、スイッチサイエンスでも、社内のRFエンジニアにアンテナの解説をしてもらいました。翻訳記事ではないので、元の記事の内容が気になる方はこちらからどうぞ。

Raspberry Pi Zero Wのアンテナは、基板上のプリントパターンで構成されている「プリントアンテナ」を使用しています。同じく、無線通信機能を搭載していたRaspberry Pi 3では「チップアンテナ」を使用していました。

Raspberry Pi Zero Wで使用している、プリントアンテナとはどんなものなのか?この部分に注目していきたいと思います。

Raspberry Pi Zero Wのアンテナ部分

Raspberry Pi 3のアンテナ部分

アンテナの基本的な考え

アンテナは電波(=電磁波)の送受信の出入口として使われます。電波はある一定の周期をもって+から-を繰り返しています。1をこの周期の時間で割ったものを周波数、光速度(3x10^8)を周波数で割ったものを波長といいます。アンテナが電波を同調すると、アンテナのエレメントに電圧が誘起されます。この電圧の高低は波長とアンテナの長さの関係で決まるため、目的の周波数によって適切なアンテナの長さが決まります。受信する電波の波長に適したアンテナの長さにすることにより、効率良く電波の送受信ができるようになります。

Raspberry Pi Zero Wのアンテナ

2.4GHzのように周波数が高い電波は、基板上にパターンを設計することで、プリントアンテナとして使うことができます。ただし、アンテナにも種類によって様々な種類があり、Raspberry Pi Zero Wで使われているアンテナは、空洞共振器を応用したものと考えられます。

Raspberry Pi Zero Wは三角の形状で銅箔を抜いている部分がアンテナの役割を担っています。この三角部分が、空洞共振器の役割を果たしており、スウェーデンのProant社からライセンスを受けた技術を使い、設計されています。

空洞共振器部分

共振器とは

共振した高周波エネルギーを吸い込むものを共振器と呼びます。空洞共振器は、誘電率がわかっている誘電体をつかうことで、共振器の役割を果たします。この共振器が、目的の電波に同調させた電波を吸収し、通信モジュールに送る、つまりアンテナとしての動作を行います。

Raspberry Pi Zero Wでは、誘電体として使う基板と、電波の波長に合う大きさの銅箔パターンを組み合わせることで、特定の周波数に同調させています。

通信状況がいつも良いとは限らないので、アンテナは微弱な電波でも受信できるように設計しなければいけません。アンテナの給電部と通信モジュールのインピーダンス(交流における抵抗値)を等しくすることで、電波を効率よく受信できるようになります。空洞共振器の三角の下に2個、右に1個ついているコンデンサはインピーダンスを調整するために使われています。

最後に

アンテナは、テレビの電波を受信するような大きなものから、今回紹介したような小さなものまでいろいろな種類があります。性能の良いアンテナを開発するために、専用の測定器を使い、厳密に部品定数を選定し、日本の電波法に適合するように作られています。万が一改造などをした場合、電波法違反や通信できなくなるだけでなく、モジュールの恒久的な破壊につながる恐れもあります。非常に繊細な部品であることに留意し、楽しく使用していきましょう。

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