FAB9に参加しました。

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こんにちは。お久しぶりの小室です。2013年8月26日に横浜のKAAT神奈川芸術劇場で開催された「FAB9:第9回世界ファブラボ会議国際シンポジウム」に参加しました。

ファブラボとは、MITのニールガーシェンフェルド氏によって提案された世界のものづくりネットワークです。詳しい定義については「FabLabの定義とFabLab憲章」を参考にして下さい。このブログでもFabLab KamakuraFabLab Tsukubaを紹介した事があります。世界ファブラボ会議とは、世界中にあるFabLabの代表者や関係者が一同に会し、今後のFabLabの方向性を話し合ったりFabLabでの活動を共有する会議です。今年で9回目のこの会議、来年はバルセロナで行われる事が決まっています。

その会議の中で今回私が参加したシンポジウムでは、世界各地のFabLab代表者や関係の深い方々によって各自のプロジェクトがTEDのようなスタイルで紹介されました。パネルディスカッションでは経産省や総務省、独立行政法人国際協力機構からパネリストを招き、「日本のファブは世界とともに何ができるのか」をテーマに議論が交わされました。シンポジウムの最後には、各国のFabLabを渡り歩き、世界各地で様々なコラボレーションを行ってきたイェンス・ディヴィク氏による映画「Making, Living, Sharing」の上映もありました。

地球規模で繋がってコラボレーションする事を、多くのマスターが強調していました。
地球規模で繋がってコラボレーションする事を、多くのマスターが強調していました。

FabLabの最大の特徴は「各FabLabが地域の独自性を活かした活動を行っている事」と「地球規模のネットワーク」だと思います。世界中にある多様なFabLabとコラボレーションすること、技術や知識、アイディアや方法や成果を共有する事によって、さらに新しい価値を生み出せると信じて活動しています。シンポジウムでも多くのFabLabマスターが「世界と繋がり、共有すること」の重要性を強調していました。たった一人のアイディアも、世界で共有してコラボレーションすれば70億の知恵や力で大きくすることができる、という考え方です。特に発展途上にあるケニアでは、「FabLabを通じて世界とアイディアや技術を共有/コラボレーションして、多品種少量生産する」活動を中心とした経済の成長を目指した活動がなされており、政府からの支援も受けているそうです。

この「アイディアや成果を利用可能な形で共有する」という考え方は、スイッチサイエンスが共感し実践している「オープンソースハードウェア」の考え方にも通じています。もちろん、それを商業的に成功させるにはまだまだ様々な問題があります。特に、日本のような社会においてオープンで多品種少量生産を目的とした活動がどのような成果を生めるのか、私たちも小さいながら製造を行っている身として努力を続けていかなければならないと感じています。

個人的な話ですが、実は私は現在妊娠9ヶ月なのです。そんな身としてはFabLabの教育や学習の進め方には興味津々!世界と繋がって、多様性の中で学ぶことのおもしろさって、なかなか体感できない物だと思います。そのおもしろさをどうやって伝えればいいのだろう。言語の壁も気になるし…個人的には楽しみながら、ものを作ったり人と共有したりコラボレーションしたりする力を付ける場所が今後もどんどん広がるといいな、と。そのお手伝いが少しでもできるといいな、と考えたりしました。

日本のFabLabは現在、KamakuraTsukubaShibuyaKitakagayaSendaiKannaiの6カ所にあります。場所も関東だけでなく、関西や東北にも広がっています。FabLabは週に1度は一般に公開されていますので、お近くのFabLabに足を運んで、いわゆる「21世紀の新しいものづくり」を体感してみてはいかがでしょう?