Telepathy Japanさんを訪問しました。

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こんにちは、小室です。スマートアイウェア「Telepathy Walker」のクラウドファンディングを実施中の株式会社テレパシージャパンさんを訪ねました。

Telepathy Walkerは目元に装着して使うウェアラブルデバイス、ヘッドマウントディスプレイの一種です。日常生活の中で使うことを考えて設計されています。そのため、本体の重さはたったの55gなのだそうです。また、目玉のアプリケーションとして、歩行者向け直感型ナビゲーション「ARrow Navi(アローナビ)」も用意されています。

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Telepathy Walker本体の試作品。
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着けてみた様子。アタッチメントの長さを事前にしっかり調整すると、ずれ落ちないです。それにしても片目タイプかっこいいなぁ。
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金本も装着してご満悦です。金本のほうがしっくり来ている気がするのが悔しい。メガネと組み合わせると違和感がかなり少なくなり、固定もしやすいようです。

Telepathy Walkerはテレパシージャパン社が作るふたつ目のスマートアイウェアです。ひとつ目のTelepathy Jumperは主に業務用で、遠隔作業支援や作業の録画などに使われているそうです。

今回、テレパシージャパンの代表である鈴木氏に、クラウドファンディング実施中のTelepathy Walkerについてお話を伺うことができました。

シースルービューを実現する新技術

Telepathy Walkerでは、画面の部分も背景が透過して見え、背景の中に画面が浮いているように見えます。一般的に、背景が透過して見えるディスプレイには、ハーフミラーや透過型ディスプレイが使用されます。しかし、これらの方法では、晴れた日に屋外で使用するとディスプレイが暗く、見にくくなってしまうという問題がありました。Telepathy Walkerでは、目の瞳の前に、瞳の大きさよりも小さな画面を置くことで、背景が透過して見える、明るいディスプレイを実現しているそうです。

さらに、実際の画面を処理するディスプレイモジュールと、画面を映すための小さな鏡を搭載したアイピースを分離していることも大きな特徴なのだそうです。これにより、小型化、軽量化しやすいだけでなく、複雑で高価な光学系を用いる必要もありません。さらに、視界を遮るものが少なくて済むため、ユーザーはより快適にシースルービューを楽しむことができます。

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アイピースとモジュールがわかれているからこそできる空間。これによって視界を遮るものが少なくなっています。
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アタッチメントに取り付けるためのマグネット。ここはUSBの信号を取り出すこともできます。

正解のないデバイスを作る

鈴木氏は、現在はテレパシージャパンの代表をされていますが、当初CTOとして実際にTelepathy Walkerの設計に携わっておられました。エンジニアをまとめる立場から、開発に於ける苦労をうかがいました。


鈴木氏

もっとも大変だったのは、何を作ったらいいか分からない、というところでした。私はもともとはメーカーでノートパソコンの設計をしていました。ノートパソコンって、どんなものか、どんな形か、もう当たり前になっていますよね。私が設計を始めた頃というのはノートパソコンの初期ではありましたが、それでも正解の形はもう分かっていました。

 しかし、スマートアイウェアはまだどんな形が正解かわかりません。Googleグラスなどはありますが、それが正解かどうかもわかりません。正解がわからないと、エンジニアとしては自分が納得できるものを作ろうと思ってしまいます。そうすると、いつまでたっても発売できるようなデバイスができあがらないんです。妥協、ではないですが、どこかで折り合いをつけなければなりません。Telepathy Walkerでは、最終的には日常的に着けることができる軽さやディスプレイの明るさ、シースルービューを実現しました。

生活を、行動パターンを変えるデバイス

最後に、このTelepathy Walkerがつくる未来についてうかがいました。


鈴木氏

スマートフォンが登場して、私達の生活や行動パターンは変わりました。それと同じような現象が起こると信じています。もちろん、そのためにはデバイスのハードウェア特性も重要ですし、どんな機能をもたせるのか、どんなプリケーションを提供するのかというのも重要になります。

 Telepathy WalkerはAndroidで動いていますので、Androidアプリの開発経験があればどなたでもTelepathy Walkerのアプリを開発できます。現在、開発したアプリを提供する場として「アプリマーケットプレイス」を準備中です。また、デバイスを作った者の責任として、カメラやスピーカー、マイクの性能など、ハードウェアの特性を活かしたアプリ開発のために、APIも充実させていく予定です。

 Telepathy Walkerは生活を変える新しいデバイスの第一歩です。オープン・イノベーションという考え方のもと、私達テレパシージャパンの中だけでなく、外部の方々と協力しあって新たな道を切り開いて行けたらと考えています。


今、日常の中でヘッドマウントディスプレイをつけている人を見かけたら、まだまだ少し違和感があると思います。映画やアニメなど、SFの物語の印象がまだ強いです。しかし、Telepathy Walkerを装着してみて、ヘッドマウントディスプレイは日常に溶け込むデバイスとして着実に進化していっているのだと感じました。デバイス自体のデザインは、画面の見やすさや装着のしやすさだけでなく、髪型の邪魔をしない、できるだけ目立たないなど、日常的なファッションの要素も考慮されていました。同時に、アプリやインタフェースなど、ソフトウェアの面も進化していくのだと思います。PCの普及に表計算ソフトやゲームといったキラーアプリケーションが貢献したと言われているように、ウェアラブルデバイスにもキラーアプリケーションが必要なのだと思います。Telepathy Walkerには、アプリケーションなどを開発しやすい環境も揃ってきていると思います。

Telepathy WalkerはKickstarterにてクラウドファンディングを行っています。月曜日の午前11時まで。興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょう?