Joule 570x developer kitを使ってみました。【第一回】

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当社でも販売開始した、Intel社の最新IoTモジュール開発キットJoule 570x developer kitですが、先立ってサンプルを入手したので、アルバイトさんに渡して動作記事を書いてもらいました。数回の連載記事の予定です。


1 Jouleを動かしてみました

インテルのGalileo、Edisionの後継である、最新CPUモジュール「Joule」が入手できたので、Windows IoT Coreを動かしてみました。

手元に届いたのは、Intel Joule Developer Kit。150 x 90 x 45 mmの箱に、Joule 570xと拡張ボード、マイクロSD、アンテナ2本、ヒートシンク、Type C USBケーブル、スペーサー&ネジ4組が入っています。

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Joule 570xは既に拡張ボードに取り付けられていました。Joule 570xの裏面がどんな感じか気になりますが、動かす前に壊してしまうと悲しいので、後日確認することにします。

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1.1 追加で必要なもの

Intel Joule Developer KitでIoT Coreを動かすには、Developer Kit以外に次のものが必要です。HDMIコネクタがマイクロHDMIなので注意してください。わたしは手持ちケーブルが無く、急いで手配、入手しました。

Windows 10パソコン

Jouleのファームウェアアップデートや、USBメモリをセットアップするのに使います。Windows 10はVersion 1607以降でなければいけません。

2GB USBメモリ

JouleへのIoT Coreインストールは、USBメモリに入れたIoT CoreイメージをeMMCにインストールします。そのため、一時的にUSBメモリを使います。1.3 GBくらい入りますので、2 GBあれば十分でしょう。

USB電源アダプタ

Type-C USBケーブルで電源を供給するための、USB電源アダプタです。最大電流が不明ですが、わたしは2.0 Aのものを用意しました。

マイクロHDMIケーブルとディスプレイ

Jouleの画面を表示します。

USBキーボード

JouleのBIOS設定を操作するのに使います。

USBハブ

一時的にUSBキーボードとUSBメモリを同時に接続するのに使います。

1.2 組み立て

裏面にもそれなりに部品が載っているので、まずは基板にスペーサーを取り付けます。取り付けて気づいたのですが、ネジがT型トルクスでした。ドライバーでしっかりと締めなくても問題ないので、手で回して取り付けました。

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次にヒートシンクを取り付けます。Jouleの上にプラスチックアダプタを載せて、ツメの部分がしっかりとはまるよう隙間ない状態になるまで上から押さえます。そして、向きに注意しながらヒートシンクを真ん中に置き、その上からワイヤーストラップを取り付けます。プラスチックアダプタの引っかかりが少し不安でしたが、外れるといったことは無く大丈夫でした。

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1.3 必要なソフトウェアのダウンロード

パソコンにソフトウェアをダウンロードします。Windows 10 IoT Core Insider Preview - Build 14931 Intel JouleはWindows Insider Programに参加していないとダウンロードできませんので、参加登録してダウンロードします。わたしの環境では、全てのファイルをダウンロードするのに数時間かかりました。

名称 ダウンロードURL ファイル
Joule firmware https://downloadmirror.intel.com/26206/eng/Joule-Firmware-2016-09-23-131_Public.zip Joule-Firmware-2016-09-23-131_Public.zip
Windows 10 IoT Core install script for Intel Joule https://downloadcenter.intel.com/download/26320/Windows-10-IoT-Core-install-script-for-Intel-Joule- JouleInstaller.zip
Windows ADK for Windows 10, Version 1607 https://developer.microsoft.com/en-us/windows/hardware/windows-assessment-deployment-kit adksetup.exe
Windows 10 IoT Core Insider Preview - Build 14931 Intel Joule https://www.microsoft.com/en-us/software-download/windowsiot Windows10_InsiderPreview_IoTCore_IntelJoule_ARM32ARM64_en-us_BUILD.iso

Joule firmwareとWindows 10 IoT Core install script for Intel Jouleはzipファイルなので、適当なフォルダに解凍しておきます。

1.4 IoT COREインストールの流れ

インストールの手順はマイクロソフトWebサイトに詳しく書いてあります。しかしながら、全体の作業イメージが掴みにくく少し難しいです。そこでインストールの流れをわたしなりに整理してみました。

やることは、IoT Coreイメージ(flash.ffu)をJouleのeMMCに入れることです。パソコンからJouleのeMMCに直接入れることが出来ないため、USBメモリにミニWindows環境(WinPE)とJouleInstaller.cmd、flash.ffuを入れておき、JouleをUSBメモリ起動してflash.ffuをeMMCにインストールします。USBメモリにWinPEをセットアップするのに、Windows ADKを使います。

加えて、ファームウェアが古いと何か問題あるかもしれないので、アップデートします。

1.5 ファームウェアのアップデート

Jouleのファームウェアを最新にアップデートします。

Jouleを認識するためのデバイスドライバをインストールします。インストールする前に、コントロールパネルのプログラムの機能でIntel Android Device USB driver、Intel DnX USB Driver version 1.0.0、Intel(R) Platform Flash Tool version 5.6.1.0がある場合はアンインストールしてください。そして、Joule firmwareに含まれているDNX\DNX-dldrcli\installer\FlashUsbDriver-1.0.0.exeを実行してインストールした後に、パソコンを再起動します。

JouleをDNXで起動します。Jouleの接続ケーブルを全て外して(マイクロSDも外して)、DNX Bootボタンを押しながらパソコンとJouleを、Type-C USBケーブルで接続してください。正常にDNXで起動すると、右側の電源LEDが点灯、上側の全LEDが消灯となります。デバイスマネージャにIntel DNX Deviceが表示されれば正常です。

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コマンドプロンプトで下記を実行すると、USB接続されたJouleのファームウェアがアップデートされます。

cd (Joule firmwareのフォルダ)\DNX
move ..\Public\Joule_C0-X64-Release-131-Public_DNX.bin .
Flash.bat Joule_C0-X64-Release-131-Public_DNX.bin

WARNINGと表示されるので心配ですが、問題ないようです。このように表示されれば成功です。

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USB-Cケーブルを外して、Jouleの電源を切ってください。

1.6 インストール用USBメモリの作成

adksetup.exeを実行してWindows ADKをインストールします。途中のインストールする機能の選択は、Development ToolsとWindows Preinstallation Environmentにチェックを入れてください。ネットワークから必要なファイルをダウンロードしながらインストールするので、結構時間がかかります。

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USBメモリをパソコンに取り付けてから、スタートメニューにある展開およびイメージングツール環境を右クリックして管理者として実行し、下記コマンドを実行します。”F:”の部分は、USBメモリのドライブを指定してください。

copype amd64 C:\WinPE_amd64
MakeWinPEMedia /UFD C:\WinPE_amd64 F:
rmdir /S /Q C:\WinPE_amd64

そして、JouleInstaller.zipの中にある、JouleInstaller.cmdを、USBメモリのルートにコピーします。

最後に、Windows10_InsiderPreview_IoTCore_IntelJoule_ARM32ARM64_en-us_BUILD.isoの中のWindows_10_IoT_Core_for_Broxton.msiを実行した後、C:\Program Files (x86)\Microsoft IoT\FFU\Broxton\flash.ffuをUSBメモリのルートにコピーします。

出来上がったUSBメモリはこのとおりです。

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1.7 IOT COREのインストール

いよいよ、JouleへIoT Coreをインストールします。

Jouleにディスプレイ、USBハブ、USBキーボード、USBメモリを接続して、電源を入れます。

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上側のLEDが四つ点灯したら素早くF2キーを押して、BIOS Setupのトップ画面に切り替えます。Device Manager→System Setup→Bootに画面遷移して、OS SelectionをWindowsに変更後、F4キーで設定を保存します。再起動を強制されるので、なにかキーを押します。

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再度、上側のLEDが四つ点灯したら素早くF2キーを押して、BIOS Setupのトップ画面に切り替えます。Boot Managerに遷移して、EFI USB Deviceを選びます。すると、自動的に再起動します。

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コマンドプロンプトが表示されたら、下記コマンドを実行します。英語キーボードで認識されているので、”:”のところはシフトと”+”キーを押すと入力できます。Jouleに既にIoT Coreがインストールされている場合は、C:をD:としてください。

C:
JouleInstaller.cmd

eMMCにIoT Coreがインストール完了すると、Press any key to continueと表示されるので、何かキーを押してください。

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下記コマンドでシャットダウンします。

wpeutil shutdown

USBメモリを外して、再度、電源を入れなおすと、Joule単体でIoT Coreが立ち上がります。言語とWi-Fiを設定すれば、見慣れたいつもの画面が表示されます。

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次回は、Jouleがどれくらいの速さで動くか確認したいと思います。


第一回:Jouleを動かしてみました(当記事)
第二回:Jouleは本当に速いのか