こんにちは すみやです。
今回はスイッチサイエンスから発売されるSARA-R410M LTEモジュールピッチ変換基板を紹介します。このモジュールを使えば、Arduinoなどのマイコンボードを直接LTE回線へ接続することができます。
まずはスイッチサイエンスの商品ページにある通り、ATコマンドでインターネットへ接続してみます。SIMカードは手元にあったドコモ系MVNOのSIMを使用します。

シリアル変換はFTDI USBシリアル変換アダプター Rev.2を使用しました。このモジュールはIOレベルが1.8V なので、NTB0104 レベルシフタ ピッチ変換済みモジュールなどでレベル変換が必要です。スイッチサイエンスのUSBシリアル変換アダプター Type-C版を使用すれば、1.8 VのIOに対応しているため、そのまま接続できます。

ピンアサインが基板の裏面にあるので、正直見ずらいのですが、5 V、GND、RX、TXを確実に配線していきます。また、RTS、PWR_ONをGNDへ接続します。

Arduino IDEのシリアルモニタを使ってATコマンドを入力していきます。
ここまで商品ページの手順通り、インターネットへ接続できました。
ATコマンドで接続することが確認できましたが、よりお手軽にArduinoで使えるTinyGSMというライブラリを使用してみます。Githubからダウンロードもできますが、Arduino IDEのライブラリマネージャからもダウンロードできます。

サンプルとして、WebClientを実行してみます。最初にArduino Unoを試してみましたが、コンパイル後のメモリサイズがギリギリで、動作が安定しなかったのでArduino Megaを使用します。

WebClientのスケッチを編集します。モデムはTINY_GSM_MODEM_SARAR4を選択。コメントアウトを外します。
20 | #define TINY_GSM_MODEM_SARAR4 |
Arduino Megaはハードウェアシリアルを使用するのでSoftwareSerialの項目はコメントアウトのまま。APNを入力し、書き込みをすると、ATコマンドを叩くより簡単にインターネットに接続することができました。
74 75 76 77 | // Your GPRS credentials, if any const char apn[] = "YourAPN" ; const char gprsUser[] = "" ; const char gprsPass[] = "" ; |

接続に成功すると、Webから取得されたTINYGSMのアスキーアートが表示されます。
さて、実際にArduinoで扱うことができたので、動作するものを作ってみます。
LTEモジュールはもちろん屋外で使用できるので、今回は位置情報を送信してみます。

SARA-R410MにはGPSは搭載されていないので、手元にあったM5Stack用のGPSユニットを使用します。
まず、自宅サーバー上に経度緯度をGETメソッドで受信しデータベースに書き込むプログラムを設置しました。
Arduinoのスケッチは先程のHttpClientを改造し、GETメソッドで経度緯度を送信するスケッチを作成します。GPSの受信に関するスケッチは M5StackでGPS付き心拍ロガーを作る を参考にTinyGPS++を利用し、URLに経度緯度を載せ、送信するようにしました。
// Make a HTTP GET request: SerialMon.println( "Performing HTTP GET request..." ); client.print(String( "GET " ) + resource + String(gps.location.lat(), 6 ) + String( "&lng=" ) + String(gps.location.lng(), 6 ) + " HTTP/1.1\r\n" ); client.print(String( "Host: " ) + server + "\r\n" ); client.print( "Connection: close\r\n\r\n" ); client.println(); |

実際に車に搭載し、自宅から黒部ダムの玄関口、扇沢駅まで出かけてみました。


帰宅後、サーバーのログを確認すると、データが送られているのを確認できました。経度緯度を地図にプロットすると、走行した道路の上をきれいになぞっています。長距離、長時間でも問題なくデータを送信することができました。

SDカード等に保存したデータではなく、実際にいる位置からサーバーに送ったデータを連続して表示しています。通信圏内であれば、日本中どこからでもArduinoをインターネットへ接続できます。
今回は経度緯度のみを送信しましたが、他にも様々なデータのテレメトリーシステムを容易に構築できそうです。スイッチサイエンス製SARA-R410M LTEモジュールピッチ変換基板はアンテナ付きで販売中です。