ちょっとすごいロガーの販売再開について

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GPS(GNSS)モジュールが製造終了により販売終了していたちょっとすごいロガー(NinjaScan-Light) スイッチサイエンス版ですが、モジュールを現行製品に置き換えて製造し、販売できるめどが立ちましたのでご連絡です。

11月中には発売の予定で、ケーブルやアンテナなどをセットにしたものと本体のみのものの両方を発売します。販売開始までずいぶん時間がかかってしまいました。お待たせいたしました。

なぜ置き換えることになったのか、そして時間がかかったのかの説明を今後の参考に書いておきます。

ちょっとすごいロガーに搭載していたGPSモジュールはu-blox NEO-6シリーズのNEO-6Mという製品でした。しかしNEO-6シリーズが製造終了となったため、後継となるNEO-M8シリーズのNEO-M8Nというモジュールを使って製造しよう、ということになりました。NEO-M8シリーズNEO-6シリーズと互換性があるということでしたので、単純にNEO-M8Nに載せ替えて初回ロットの製造をしたのが2018年の秋です。

特に問題なく動作すると思っていたのでいきなり少数量産(2桁台)したのですが、動作確認してみたら50%くらいの確率でGPSの衛星を捕捉できない基板が出てきました。いくらなんでもこの不具合の割合はおかしいということで原因究明に乗り出したのですがこれが苦難の道で、まるまる一年かかってしまいました。

一般的に、発生確率が100%でない不具合の時はアナログ的な何かが原因のことが多いです。 そのため初めに疑ったのは実装不良でしたが、それにしてはGPSモジュールだけ狙って動かない確率が高すぎました。実装業者様にX線検査してもらっても問題はありませんでした。

次にNEO-M8でのGPSアンテナ端子処理がNEO-6から変更になっている部分があるのでは? ということを疑いました。そこで試しに怪しい部分の配線パターンをカットとジャンパ接続をしてみたところ動く(GPS衛星を捕捉する)ようになったのです。ここが問題だったかと思って一安心したのですが、しかし試しにもう2台同じ加工をしてみたところが動かず、u-bloxからもその部分は従来の回路で問題ないと連絡をもらいました。

全数だめというならまだわかるのですが、半分くらい動かないというアナログ的なだめさだったので、どこに問題があるのかわからなくなってしまいました。そこで、モジュール単体に問題があるのかを確認するためにブレークアウト基板(未発売)にモジュールを移植して動作確認することにしました。同時に、ちょっとすごいロガーの機能でmicroSDにdirect.gpsというファイルを置いておくとGPSモジュールの入出力を直接USBシリアルにつなげられるとFenrirさんに伺ったので、それもやってみました。(direct.gpsについてはちょっとすごいロガーのファームウェアのリリースノートを参照ください )PC側のソフトはu-centerです。

u-centerのログをu-bloxのエンジニアの方に見てもらったりしたのですが、特に問題はなさそうでした。と、ここで気が付いたのですが、GPS衛星を捕捉しないちょっとすごいロガー基板でも、USBシリアルに直接信号を出してu-centerとつなぐとGPS衛星を捕捉するのです。同様にブレークアウト基板に移植したGPSモジュールも問題なく動作しました。

ここまできてハードウェアには問題がなく、ちょっとすごいロガーのファームウェアに問題があるのでは、というところに思い至りました。しかしソフトウェアの問題なら動いたり動かなかったりはないよな、と思いながらu-bloxエンジニアの方にソースを見てもらいつつ(こういう時オープンソースは便利です)聞いたところ、GPSモジュールの初期化時間はNEO-6の100msに対してNEO-M8は500msを推奨しているとのこと。初期化が間に合うモジュールと間に合わないモジュールが半々だったとすれば、50%がだめというのもありそうです。

Fenrirさんに事情を説明して初期化時間を500msにしたファームウェアを作ってもらって書き込んだところ、今までGPS衛星を捕捉しなかった基板も捕捉するようになりました。全ての基板のファームウェアを更新して無事発売までたどり着いた、という次第です。副作用で起動まで少し時間がかかるようになってしまいました。

紆余曲折ありましたが、今までのちょっとすごいロガーと同じく使っていただければ光栄です。