A111搭載測距モジュールピッチ変換基板の問題二点について

投稿者:

A111搭載測距モジュールピッチ変換基板に問題があることがわかりました。いずれも深刻なものではありませんが、使い続けるのをおすすめできる状態ではないので修正や回避する方法を記載しておきます。

回路の問題について

接続したRaspberry PiのGP21(MISO)とGP25(Interrupt)に5Vがかかることがわかりました。 Raspberry PiのGPIOの電圧は3.3Vなので、5VがかかるとRaspberry Piが壊れる可能性があります。申し訳ありません。

A111は1.8Vで動作するため出力される信号の電圧も1.8Vです。この1.8Vの信号をRaspberry Piに合うように信号の電圧変換しているのですが、なぜかここで5Vに変換してしまっているのが原因です。元にしたSparkfunの回路がそうなっていた(そして今も普通に売っている)ので油断していました。

ただ、信号の電圧変換に使っているTIのTXB0108は自動で方向制御できるよう出力が弱く設計されているので、つないで動作させてすぐに壊れることはなく、すぐに使うのをやめてくださいというほどではないと考えています。

また、2列26ピンの端子ではなく1列8ピンの端子から信号を取り出して使っている場合は、5Vの端子に必要な信号電圧と同じ電圧(例えばRaspberry Piをつなぐなら5V端子に3.3Vを)供給すれば、つないだ先のデバイスでそのままお使いいただけます。

Raspberry Piに2列26ピンの端子で接続してずっと使い続けるのはよくないと思いますので、以前に不具合の有った製品を購入していただいたお客様へは該当製品とリワーク品との交換対応をさせていただきます。
注文番号と一緒にお問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします。

本製品に記載されている技適マークと番号は、A111の開発中に搭載が検討された通信機能のために取得された物で、距離センサで使われる電波についての物ではない、とのご指摘をメーカーであるAcconeer社よりいただきました。ただしこれによりA111を搭載した本製品の日本国内で使えないということではなく、微弱無線局として使うなら問題ないとのことです。微弱無線局とは3mの距離における電界強度が許容値(周波数によって違っていて、60GHzの場合約200μV/m)以下なら無線局の免許が不要になるしくみです。

総務省 電波利用ホームページ 微弱無線局の規定
https://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/rule/

A111と筐体の距離で電波の減衰や増幅が起こるため微弱無線局として定められた範囲に入っているかは実際に計って確認が必要ですが、メーカーから目安として「Exploration ToolでProfileが2以下でSparse/Presence Detectionサービスを使っている場合は、微弱で収まっている」と情報をいただきました。「Exploration Tool」とは以前の記事A111搭載測距モジュールピッチ変換基板の紹介の後半に出てくるWindows用のアプリケーションです。

https://user-images.githubusercontent.com/1484182/105273757-3f229e00-5bdf-11eb-9e3e-17d16e1c1c29.png

また、筐体設計などについてはHardware and physical integration guideline(英語PDF)を参照してください。同ドキュメントはAcconeer社のウェブサイトにログイン後、Developer向けのページ https://developer.acconeer.com/ からダウンロードできます。

以上2点が問題でした。

以下、手で修正する方法を書いたのでもったいないから残しておきます。

参考:回路の修正を手で行う方法

基板裏面の右側にある黒い多ピンのICが電圧変換ICです。ここに入る電源電圧を5Vから3.3Vにするために以下の作業を行います。この修正を行うと1列8ピンのコネクタでは使えなくなりますので、1列8ピンのコネクタでお使いの場合は修正せずそのままお使いください。

パターンをカットする

まず、基板裏面左下の配線をカットします。カット位置は下図を参照してください。カッターナイフなどで配線をゴリゴリやると切れると思います。

縦方向の配線は1.8Vを作る電源ICへの配線なので、枝分かれした横方向の線をカットするようにしてください。

カット後、テスターで下図の左下の端子(5V)と右上の端子が導通しないことを確認してください。つながっていると次の作業で5Vと3.3Vがショートしてしまいます。同様にそれぞれの端子がGNDと導通しないことも確認してください。

ジャンパ線をはんだ付けする

次に基板おもて面の端子をはんだ付けします。Raspberry PiのGPIOの1ピンが3.3V電源なので、このピンと基板上にある5Vと書かれた端子をつなぎます。

これでA111基板から出力される信号の電圧は3.3Vになります。1列8ピンの端子に出ているSPI信号も3.3Vになるので、1列8ピンの端子をお使いの方はご注意ください。